循環器内科

循環器疾患(心臓・血管の病気)についてAbout cardiovascular diseases

【画像】循環器疾患について

代表的な心臓・血管の病気として、以下のような病名が挙げられます。

  • 高血圧
  • 心不全
  • 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患
  • 不整脈
  • 心臓弁膜症
  • 心筋症

上記は主に以下のような症状として表れます。
当院ではこれらの病気の診断と治療に力を入れています。

血圧が高い

【画像】血圧が高い

現在本邦の高血圧患者数は約4,300万人と推定され、そのうち治療によって血圧が適切にコントロールされているのは27%程度とされています。さらに4,300万人のうち、高血圧であると診断されていない、あるいは自分が高血圧であることを認識していない人は33%も存在すると推定されています。
高血圧の最大の特徴は、症状がないということです。“症状がないから”と高血圧を長年放置する、すなわち高い圧力が血管の壁にかかり続けることにより、以下ような異常をきたすことがあります。

  • 動脈が脆くなって内側が狭くなり血液の流れが悪くなる、あるいは完全に詰まってしまい血流が途絶えてしまう。
  • 血液の流れが悪くなった結果、脳・心臓・腎臓などの重要臓器への血流が不足し機能が悪くなる。
  • 動脈が脆くなって高い圧力に対応することができなくなり、徐々に血管が広がってこぶ(動脈瘤)を形成し、ついに破れてしまう。

一方、ホルモンの異常分泌などによって引き起こされる二次性高血圧と呼ばれる特殊なものも存在し、通常の高血圧(本態性高血圧)とは異なる検査や治療を必要とします。
高血圧は、日本人の死因2位の心疾患、4位の脳血管疾患の主な原因です。 健康長寿のためには、高血圧に対する早期の対処が重要です。

息苦しい

【画像】息苦しい

息苦しさの原因の大半を、心臓かあるいは肺の病気が占めています。
心臓は、血管を介して全身に血液を送り出すポンプとして1日に約10万回動いています。しかし、何らかの原因(虚血性心疾患・心臓弁膜症・不整脈・心筋症など)でポンプ機能が悪くなった結果、全身に十分な血液を送り出すことができなくなってしまいます。
その状態が持続すると、血液が肺の血管に停滞し、ついには血液中の水分が肺に滲み出した結果、あたかも水に溺れたような状態に至り、息苦しさとなって表れます。この状態を心不全と呼びます。後に触れますが、心不全の症状として足がむくむこともあります。
一方、ヒトは呼吸によって酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐き出します。酸素と二酸化炭素の交換(ガス交換)は肺で行われるため、そこに何らかの病気(気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患・肺炎・肺がんなど)があるとガス交換がうまくいかず、息苦しさとして表れることがあります。

胸が痛む

【画像】胸が痛む

心臓は1日に約10万回動いていることを説明しましたが、そのために心臓自身も十分な栄養や酸素を必要とします。それらの栄養や酸素は心臓を取り囲む“冠動脈”という血管から送られます。しかし、冠動脈の内側が動脈硬化などによって狭くなると心臓の筋肉が必要とする栄養と酸素が十分に送られなくなり、胸の痛みが起こります。これは“狭心症”と呼ばれます。
さらに、冠動脈の内側が完全に詰まり、そこから先に血液が流れなくなってしまった結果、心臓の筋肉が壊死を起こし激しい痛みをきたすのが“急性心筋梗塞”で、直ちに適切な治療を行わなければ生命の危険があります。

狭心症や心筋梗塞は総称して“虚血性心疾患”と呼ばれます。虚血性心疾患の危険因子として、生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)、喫煙、肥満、ストレス、家族歴などが挙げられます。急性心筋梗塞に至らぬよう丁寧な問診を行うことによって狭心症の段階で早期発見し、適切な治療によって発症および再発予防に努めなければいけません。
一方、胸が痛む病気として太い動脈が避ける大動脈解離、肺の血管に血の塊(血栓)が詰まる肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)、肺が破れる気胸なども挙げられます。

動悸・脈が乱れる

【画像】動悸・脈が乱れる

“ドキドキする”、“脈が乱れる”、 “脈がとぶ”、 “意識が遠のく”など様々な症状として表れる、 あるいはまったく無症状の場合もある不整脈ですが、 脈が速くなるものと遅くなるもの、 また放置しても差し支えないものと緊急で治療を行わなければ生命に関わる危険なものがあります。 突然起こり、 目の前が暗くなる、 意識がなくなるなどの症状を伴う不整脈は特に要注意で、 早急に専門医への受診が必要です。
脈がまったくバラバラに打つ不整脈である “心房細動” は、 日常診療でよく見られる代表的な不整脈のひとつで、 高齢化に伴って増加しています。

現在本邦の心房細動患者数は約100~200万人といわれ、 特に80歳以上の男性では約10%にみられると推定されています。
さらに心房細動患者の約40%には症状がないといわれており、 適切な治療がなされぬまま放置されていることが少なくありません。
心房細動は心臓が不規則に打つため、 血液がよどみ心臓内に血栓が出来やすくなります。 血栓が血流に乗って全身の重要な臓器、 特に脳に流れ詰まってしまうと生命の危険にさらされることや運良く生存できたとしても寝たきりなど重い後遺症に悩まされることがあります。
また、 脈拍数が非常に速い頻脈性心房細動が持続すると心臓のポンプ機能が低下し、 心不全をきたすことがあります。
近年、 心房細動に対する治療法としてカテーテル・アブレーション(細い管を一時的に心臓内に挿入し、 高周波・冷凍凝固・レーザーなどで心房細動の原因を根治させる)が確立されています。

失神

【画像】失神

失神とは、“一過性の意識消失発作の結果、姿勢が保持できなくなるが、自然に、また完全に意識の回復がみられること”と定義されています。意識消失時間は8~10秒、長くても1~2分で、その後意識は完全に元の状態に回復します。
その原因は、“脳全体の一過性低灌流(血流不足)”とされており、自律神経の乱れ・血圧低下・不整脈・心臓弁膜症や心筋症・肺血栓塞栓症や肺高血圧症・一過性脳虚血発作などが挙げられます。
一過性の意識消失発作として、てんかん発作も挙げられますが、姿勢を保持できるケースがあること、意識が回復した後もボーッとしている時間が長いなどの特徴が失神発作とは異なります。

脚がむくむ

【画像】脚がむくむ

脚の血液やリンパ液の流れが悪くなって、これらに含まれる水分が細胞のすき間に滲み出した結果、脚のむくみとして現れます。原因としては、血液やリンパ液を心臓や上半身へ戻すポンプとしての役割を果たすふくらはぎの筋力が低下している場合が最も多くみられますが、このような場合はそこまで心配はありません。
しかし、脚がむくむ原因として、心不全・肝臓病・腎臓病・甲状腺(のどにあるホルモンを分泌する臓器)の病気・血管の病気やその他の原因が潜んでいる場合があります。


循環器疾患でよくみられる症状として、以上が挙げられます。正確な診断・治療を行うため、当院では細かい問診に加え、適切な検査(胸部レントゲン心電図・24時間ホルター心電図・心臓超音波検査・血液生化学検査など)を行います。
さらに診断に苦慮するものや高度な治療を必要とするものについては大学病院や基幹病院などの連携医療機関にご紹介いたします。

ペースメーカーチェックPacemaker check

【画像】ペースメーカーチェック

ペースメーカーを体内に植込まれている患者さんは、原則として半年に1回定期チェックを受けることが推奨されています。当院では胸部レントゲン・心電図プログラマー(体外からペースメーカーの電池が植込まれている部分に機械を当て交信を行う機器)などにより、ペースメーカーの電池やリードの形態・様々な測定値に異常がないか、ペースメーカーが適切に作動しているか、電池残量が十分か、治療を必要とする不整脈がペースメーカーのメモリー機能に記録されていないかなどを確認します。

  • ペースメーカーチェックは予約が必要です。前月の診察時に予約日時を決めさせていただきます。

睡眠時無呼吸症候群Sleep apnea syndrome

【画像】睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は以下の3つに分類されます。

  1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
  2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
  3. OSASとCSASの混合型

このうち本邦ではOSASが80%以上を占めるとされています。OSASでは、肥満・のど周囲の脂肪、小さい下顎、大きな舌や扁桃などによって睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなった結果、無音の後に著しく大きないびきを発し、さらに10秒以上の呼吸停止を繰り返すといった症状がみられます。SASの患者さんは質の良い睡眠が妨げられるため、昼間の眠気や起床時の頭痛などの症状に加え、注意力散漫による作業効率の低下や居眠りによる交通事故などを起こすことがあります。また、睡眠中に体内の酸素が不足することにより、高血圧・不整脈・脳卒中・心筋梗塞をきたす確率が高くなるといわれています。
当院では簡易型睡眠ポリグラフ検査の施行が可能です。検査の結果に応じて、CPAP療法(睡眠中に鼻に装着したマスクを通して気道に空気を持続的に送り、無呼吸を防ぐ治療)の導入を行います。精密検査やその他の治療法を必要とする場合は、連携医療機関にご紹介いたします。

  • 睡眠時無呼吸症候群のための簡易型睡眠ポリグラフ検査は予約が必要です。事前のお電話をお願いいたします。